《MUMEI》 「蝶子ちゃんに付けてあげたいんだけど…いいかな?」 和馬は双子に微笑みかけた。 双子は迷っていた。 「二人にも、今度何かプレゼントするからさ」 「「いいよ」」 双子はあっさり許可した。 「私はいいって言ってないけど…」 「いいじゃん」×3 (よくない!) 和馬を怒りたいが、双子が和馬とハモッてしまったので私は怒れなかった。 「はい、じっとしててね」 和馬が私の後ろに回りこんだ。 (付けるだけ、よね?) 和馬の姿が見えないのに、気配を近くに感じ、私は不安になった。 胸元に、チェーンが見えた。 和馬の指が、私の首に触れた。 「う〜ん、意外と難しいな」 (不器用だからな) 和馬が私のうなじの辺りで指を動かすので、くすぐったかった。 「そんなに留めにくいの? 代わろうか?」 「あ、今できました!」 咲子さんが私の後ろに行こうとすると、慌てて和馬が言った。 ようやく私のうなじから和馬の指が離れた。 私の胸元には、和馬のネックレスが光っていた。 「ん、似合う似合う!」 正面から私を見つめながら、和馬は満足そうだった。 前へ |次へ |
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