《MUMEI》
予想外
   〜海視点〜


シ―――ン。

インターホンを押してから早1分。


栄実が出てくる気配もなく・・・俺は2度目のチャイムを鳴らす。


それでも一向に栄実は出て来ない。

可笑しいな・・・。


いつもなら大体2回チャイム鳴らせば栄実が出てくるのに。

"あっ海!ごめん。
まだ支度できてないんだ"

っと慌てながらセットもされてない頭で栄実がドアを開ける。

"ってゆうか起きたばっかだろ"

っと俺が笑いながら言うと栄実も

"えへへ。バレちゃったか"っと言って笑う。


そんないつもの光景が今日は繰り広げられなかった。


3度目のチャイムを鳴らそうとインターホンを押そうとした時――俺は気がついた。


栄実は、起きてないんじゃなくて出てきたくないんだっと。


信じたくないけど多分そうなんだろう。


今まで喧嘩したことだってあったけど、次の日迎えに行くと

栄実はもう起きてて、そっとドアから顔を半分出し俺の顔を確認してドアを閉め、鞄を持って出てくる。

そして必ず新発売のお菓子を俺にくれる。

お菓子の箱の裏にはいつも同じ言葉が書かれていて、俺は自然と微笑み栄実の頭を撫でる。

すると栄実も笑って――いつも自然に仲直りしてた。


だから栄実が出て来ないなんて想像もしてなかった。

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