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《MUMEI》 「なりたいぞ〜！！」 春樹さんに答える男性陣の盛り上がりに驚いた。 「織姫になりたい人〜！」 「は〜い！！」 瞳さんの質問に、女性陣は元気よく手を挙げた。 「あ、あの?」 まったく付いていけない私は戸惑うばかりだった。 「はい、蝶子。お一つどうぞ」 「は、はぁ…」 私は薫子さんが持ってきたお盆の上に乗っている沢山の七夕饅頭の中から何気なく一つ取った。 「まだ、食べないでね」 瞳さんに言われ、私は七夕饅頭を見つめた。 白い皮に星の焼き印が押されたやや大きめの饅頭。 見た目には、何の違いも無いのに… 何故か、女性陣は真剣に、慎重に七夕饅頭を選んでいた。 「これって、女性だけなんですか?」 薫子さんは女性だけに七夕饅頭を配っていた。 「先に織姫決めてからの方が、野郎の気合い入るからね」 「だからその織姫って…」 「終わったわよ！瞳！」 私の春樹さんへと質問は、薫子さんの声に掻き消された。 「瞳の号令で、中身見てね」 春樹さんの言葉に私は頷いた。 「じゃあ、いくわよ〜せ〜の！」 私は中身を見た。 (普通…よね?) 前へ |次へ |
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