《MUMEI》

つぶあんが彦星と決まっている


そして


織姫と彦星になると、ある特典が付く。


それは


一ヶ月後の八月七日。


「『花火大会で浴衣デート』?!」


「そうよ」


薫子さんはいつものように、花のように微笑んだ。


「それって、強制ですか?」


「デートって言っても、二人で浴衣着て、花火見るだけよ。

ここにいる人達の中で、当日、手が空いてる人達は、花火大会の手伝いに行かなきゃいけないんだけど、それも免除されるし。

花火大会にゆっくり参加できるのは、織姫と彦星だけなのよ。

せっかく当たったんだから、楽しみなさい」


「でも…」


私はチラッと男性陣を見つめた。


(何か…目がギラギラしてるんですけど)


私は寒気がした。


「大丈夫。会場には、他の人達もいるから。

暴走するような様子があったらすぐに止めるし」


「はぁ… あの、ちなみに去年は?」


「去年は瞳が織姫で春樹が彦星だったから、監視はしなかったわ」


確かに、恋人同士に監視は必要ないと思った。


「…最初は大失敗だったし」


薫子さんは苦笑した。


「大失敗って?」


「七夕饅頭、男女別にしないで選んだの」

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