《MUMEI》

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僕らが居なくなったジャグジーバスの中には、薔薇の花びらに混じり、何やら白い浮遊物が漂っていた――…。



カオリちゃんは疲れ果て、ベッドの上で静かに寝息を立てている――…。


僕はその傍らで、彼女の美しい寝顔に見とれていた。


「愛し過ぎて――……いっそ壊してしまいたくなる―…。」


ボソリと吐いた台詞に答えるかのように――…


彼女は寝返りを打って僕の腕に甘えてきた。


「――……。」


僕はその身体をただ抱きしめていた――……。



中島や花沢さん…全てを敵に回してもいい……。



大切なのは彼女だ――……。



――妻とは別れよう……。



――妻と別れてカオリちゃんと一緒になろう……。



僕は、そんな決意を密かにした。




――――そんな時。

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