《MUMEI》

あ。そういえば、名前。


「ねえ、すごく今更なんだけどさ」

「はい?」

「君、お名前は?」


彼はカップをソーサーに戻すと、小さくくすりと笑った。


「…リョウイチ、です」

「リョウイチくん?」

「仮名ですが」

「……は?」


仮名?


「…えーと、それは『どこの馬の骨ともわからん奴に教える名はない』とかそーいう…」

「いやいや、違いますよ」


私の発言にリョウイチくんは吹き出し、笑いながら否定する。


「嫌いなんですよ、本名」

「嫌い?」

「はい。いらないものまでくっついてくるので……ともかく、リョウイチということで」



……ど、どういうことだろう……??


さっぱりわからなかったが、とりあえず「リョウイチくん」と呼べばいいらしい。

まぁ、今後会うことも無いんだろうし…いいか。


「早乙女さんは、下のお名前は何ていうんですか?」

「え、何で苗字……ああ表札見たのか……私は玲子。『玲瓏』の『玲』に『子供』の『子』」

「早乙女玲子さん、ですか。素敵なお名前ですね」

「あ、ありがと」

若干胡散臭いセリフなのに、リョウイチくんが言うと何だかかっこよく聞こえて、少し可笑しかった。

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