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《MUMEI》 「あの猫ちゃん、今日はいないんですね」 「ああ、今は晴れてるしね」 「本当に雨の時しか来ないんですか?」 「うん。だから梅雨の時期なんてずっと居座るんだよ」 「へえ……何だか不思議ですね」 「君も十分不思議だがね」 顔を見合わせて、どちらからともなく笑いだす。 「それもそうですね……でも、早乙女さんも…」 「玲子でいいよ」 「あ、はい……玲子さんも、結構不思議だと思いますよ」 「私も?何で」 「ずぶ濡れで倒れてた、見も知らぬ不法侵入男を介抱したじゃありませんか」 「だって風邪引いちゃかわいそうじゃない」 「でも、だからってお風呂貸してお夕飯まで振る舞います?ありがたかったですけど」 「え、変?」 「変というか……女の人なら、だいたい怖がって警察呼ぶんじゃないですかね?」 「あー…」 それもそうか……ひょっとしたら悪い人かもしれないわけだし。 「確かにそうかもね……そういう警戒心が欠落してんのかしら」 「俺が言うのも変ですけど、気をつけてくださいね?物騒な世の中なんですから」 「はぁい」 私はもう20代後半に差し掛かってるし、多分彼よりは年上のはず……なのに、これじゃあどちらが年上なのかわからない。 前へ |次へ |
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