《MUMEI》

私は一足先に屋根裏に来ていた。

「───────」

この窓からは月が良く見える。

「──本当に綺麗ですね」

「おお、来たか」

「はい、実はまだ片付けが終わってないんですけどね、来てしまいました」

「冬夜」

「はい‥?」

「楽しい旅だったな」

「そうですね」

「また行きたいな」

「?」

「お前となら──どこへでも行ける気がする」

「──────」

「どうした?」

「あ、いえ──」

‥‥?

どうしたのだろうな‥。

「その──‥」

「ん‥?」

「嬉しいです、とても」

嬉しい>氛氈d。

「そうか、良かった」

私が嬉しいとお前が嬉しいように

お前が嬉しいと私も嬉しい。

小さな幸せかも知れない。

それでも

幸せである事には変わりは無い。

私は嬉しいのだ。

どんなに小さくとも

その幸せを

分かち合う事が出来れば──。



***

番外編‐旅路の後に‐終

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