《MUMEI》

お代わりの お茶を啜りながら くまさんは…泣いていた。

黒いボタンの目の周りから お茶色の涙を流している。

「逢いたいぽ」
…小夜子さんに?

「帰りたいぽ」
…小夜子さんの元へ?
「お願いだぽ」
…私に?

確かに 小夜子さんが 持ち主なんだよね。帰してあげたいけど 居場所さえ わからないし…。

「大丈夫だぽ」
…そう言って くまさんは 小さな紙切れを差し出した。

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