《MUMEI》 嘘?キキは鏡で自分が大人になったことを確かめた後、ルンルンと鼻歌を歌い出した。 そして何かを閃いたように声を上げた。 「そうだ!お母さんに知らせなくちゃ」 そう言ってキキは何かを探し始めた。 俺は置いてけぼりのこの状態であることを思い出した。 "お前、両親は?" "お母さんもお父さんもこの世界にはいないよ" キキには両親が居ないんじゃなかったのか……?あれ、俺頭おかしくなったのか? ……いやそんなはずない。 あちこち部屋を探し回るキキの元へ俺は走って向かう。 「おいっ「あ〜あった!やっと見つけたよ」 キキを呼び止めようと俺が発した声は、キキによって消し去られた。 ピッポッパッポ――。 そんなことはお構いなしに、まぬけな機械音が部屋に響いた。 キキを見ると受話器を耳に当てている。 今、話しかけてもどうせ返事は返ってこないだろうと判断し、ため息を尽きながら近くにあった椅子に腰掛ける。 前へ |次へ |
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