《MUMEI》

「おお、また桜が咲いたな」

今年も庭の桜が満開だ。

「お嬢様は本当にお花がお好きですね」

「可愛いからな」

「可愛い──ですか」

「ああ。そう思わんか?」

「そうですね、確かにお花は可愛いです。でも──」

「?」

「僕はお嬢様もそれに負けない位だと思ってますよ」

「‥!?」

何だか頬が熱いぞ‥?

冬夜がいきなりそのような事を言うから‥。

「どうされました?」

「な、何でも無い」

悪い気持ちはしないのだが‥何だか照れくさい。

冬夜が、私の方を見てニッコリと笑いかける。

頬の熱が、まだ引かない。

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