《MUMEI》

地下へと潜る階段を降り、つき当たりにある寂れた扉を押し開く…。



カッコーーンッ!……コン…コン…


店に入ると、小気味良いショットの音が、僕の耳に飛び込んできた。


薄暗いが以外と広い店の奥には、ビリヤード台が二つ並んでいる…。


中島はそこでタップにチョークを擦りつけていた…。


客は中島の他には誰もいない…。


店主らしき中年の男が、カウンターから迷惑そうな顔つきで、中島の方を眺めているだけだった。

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