《MUMEI》

彼が一人でプレーしている台のレールの上には、飲みかけのウイスキーグラスが置かれている。


その光景を見た僕は、店主の何か言いたげな表情の意味を理解した。


普通そんなことをすると、ラシャを汚すので店は迷惑がる。



ヤケ酒の類だろうか……?

堅物の中島らしからぬ振る舞いだ………。



――――ハァ……。


僕の溜め息は、彼に声をかける勇気が湧かないことを示していた……。

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