《MUMEI》
独身の理由
「どうしたの?」


佐久間が私の視線の先を確認する。


「知ってる人?」


「うん…上司の大西課長」


「あぁ…」


大西課長はまだ私に気付いておらず、一緒にいる年配の男性と楽しそうに会話をしている。


「不倫かもね……」


佐久間が呟く。


私も同じことを思ったが、佐久間には言われたくなかった。


「勝手な憶測しないでよ!お父さんかもしれないじゃない…」


なんて言いながら、私は勝手な憶測をしている。


大西課長がずっと独身でいるのは、あの年配の男性がいるから…


「まぁ、どっちでもいいじゃん。それより俺達は二人の時間を楽しもうよ!」


佐久間の言葉に私は自分の憶測を打ち消した。


「そうね、せっかくの美味しい料理だし!!」


そして佐久間にワインを勧められ、その後も佐久間のくだらない話を聞きながら大笑いして楽しんだ。

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