《MUMEI》

「なんかワインを飲みすぎたかも…眠いわ」


「少し寝てなよ」


私は佐久間の車に乗ってから、大して眠くもないくせにすぐに目を閉じた。



やっと落ち着ける…




今日は佐久間の部屋探しに付き合ったり、太一に再会したり…なんだかバタバタして疲れていた。



太一……あんまり変わってなかったな……



そんなの当たり前か…



別れてまだ4ヶ月しかたってないんだもの。



太一は………今日のこと、どう思ったんだろ…?



私は佐久間のことを、太一が客だと信じてくれてるか不安だった。



あんなに慌てた私を見て、不自然だって思われてるかもしれない…



佐久間さんが余計なことするからっ!


思い出して、また腹を立てる。



あの時………
もし私が一人だったら、どうなってたんだろ?



なんて、どうにもなるわけないか…



そう…もうどうにもならないんだから…



でも……


太一が一人で良かった。

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