《MUMEI》 一年振り「ちょ、蝶子ちゃん…もしかして…」 「ん?」 私と友君を見つめる俊彦は涙目だった。 「その子…蝶子ちゃんに似てるよね」 「うん」 比較的冷静な雅彦が言う通り、友君と私は目元が良く似ていた。 誰が見ても、一目で、血縁だとわかるほどに。 「だってこの子は…」 「わ〜! 言わないで〜!!」 俊彦が絶叫した。 「俊君は、…随分とキャラが変わったね」 店内に入ってきた男性を見て、女性陣から歓声が上がった。 (そんなにかっこいいかなぁ) 私はまじまじと見つめながら、男性に声をかけた。 「久しぶり、父さん」 「うん。元気そうだね、蝶子」 「パパ!おそい!」 友君が父を怒鳴った。 「…パパ?」 俊彦が、呟いた。 「ごめんね、友和。パパは急ぐとすぐ転ぶからね」 「ママ!」 「華江さん」 背の高い父の後ろから、華江さんが姿を現した。 女性陣は、華江さんをくまなくチェックしていた。 私の側にいた薫子さんがボソッと『あれなら仕方ないな』と言うのが聞こえた。 「え〜と、つまり?」 俊彦が代表して、私に質問してきたので、私は答えた。 前へ |次へ |
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