《MUMEI》

「新しい母さんと、弟だけど?」


ーと。


友君は


フルネーム・伊東友和。


父と華江さんの間に生まれた、今年二歳の


半分とはいえ、間違いなく私と血の繋がった


可愛い弟だった。


「アハハ、弟ね。あ〜良かった!…って、弟じゃ無効じゃん!」


「無効って何の話?」


父の質問に、春樹さんが説明を始めた。


「薫子さんは父さん達の事知ってたんですか?」


私は、薫子さんに質問してみた。


「お仕事の都合で、いつ来れるかわからないけど、七夕饅頭は食べたいから取っておいてほしいって言われて、店に一つ置いてきたの。

まさか、それが彦星とは思わなくて…」


「薫子さんのせいじゃないですよ」


むしろ、私はこれで良かったと思っていた。


(だって…)


「蝶子と花火大会浴衣デート〜?! ダメに決まってるだろう!」


「あ、出た、親バカ」


父の隣の華江さんが、茶化すように


長い間二人で生活してきたからだろうか


華江さんと再婚しても


友君が生まれても


父は、私を溺愛していた。

華江さんは笑っていたけれど、私は何だか悪い気がして


家を離れてこの街に帰って来たのだった

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