《MUMEI》

結局


俊彦と父は、『浴衣デート』について口論を始めた。

「よかったら、こちらに座りませんか?」


「ありがとう」


華江さんは瞳さんの配慮で椅子に座ってその様子を見ていた。


女性陣は友君が気に入ったらしく、友君を代わる代わる抱っこしていた。


友君は人見知りしないので、無邪気に喜んでいた。


男性陣は、俊彦と父の様子を見守っていたが…


徐々に酔いが冷めてきたせいか、誰かが『俺、もういいや、今年は』と言うと


何人かが賛同し


持っていた白餡の七夕饅頭を食べ、温かい蕎麦茶を飲み始めた。


変わらず見守っていたのは

俊彦を含めた『シューズクラブ』の店員四人と


イベントの司会の春樹さんと


俊彦の監視役の克也さんだけだった。


「お前にうちのスイートエンジェルはやらんぞ!」


「いいえ!蝶子ちゃんは俺のマーメイドちゃんですから!」


(恥ずかしいなぁ、もう…)

私は、気晴らしに友君と遊ぼうと思い、その場を離れようとした。


「ねぇ、蝶子ちゃん」


俊彦と父に背を向けた私に華江さんが話しかけてきた。


「何ですか?」


「あの二人、似てない?」

(そうなのよね)

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