《MUMEI》 非常に悲しい事実だが 再会した俊彦と 私の父は、言動がよく似ていた。 その為、私は本気で俊彦を嫌いになる事がなかなかできなかった。 私は困る時がとてもあるけれど、基本的に父が好きだったから。 「ねぇ、似てるわよね?」 なかなか返事をしない私に、華江さんがもう一度言ってきた。 「…かもしれません」 認めなくなくて、私は微妙な返事をした。 「あれが、『俊兄』かぁ…」 華江さんはしばらく俊彦を観察していたが… 「いい加減、止めますか」 そう言って、椅子から立ち上がると、二人の所に歩いて行った。 (どうするんだろう?) 「太郎、そろそろ蝶子ちゃんにプレゼントを渡したら?」 「あぁ、一番大事な事を忘れてた!俊彦のせいだ!」 父はいつの間にか『俊君』ではなく呼び捨てになっていた。 「そんなぁ、お父さん」 「誰が『お父さん』だ!」 「太郎!いいからプレゼント渡しなさい。 それから、スーツの彼等には見せちゃ駄目よ」 「わかってるよ!」 華江さんは友君に言うような口調で父に指示を出した。 父は素直にそれに従い、私の元にやってきた。 「はい!どうぞ」 前へ |次へ |
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