《MUMEI》
中途半端な優しさ
「ねぇ……、なんで今さらそんな話するの?」


そんな過去の話なんて…


「それは……、俺がお前のことを本気だったって伝えたくて……」


もしかして私が昨日、遊びだって非難したから…


「俺はお前と付き合って、絶対に過去の過ちを繰り返さないって強く思った…」


「でも…」と言って鈴木は辛そうな顔をして言った。


「どれだけ強くそう思っても…出会うときには出会うんだって気付いた…」


それって………奈美…?


「本当に…お前には辛い思いをさせて申し訳ないと思ってる…」


けど、奈美を選ぶってことなんだ…


「そんなの…わざわざ言いに来てもらわなくても…」


わざわざ来られた分…すごく惨めな気分…


「どうせ私を捨てるなら、中途半端な優しさとか心配とかしないでっ!」


私のこと本気だったなんて言わないでよ…


なんでそんなこと言うのにプレゼントなんて持ってくるのよ…


「俺、お前を捨てるつもりなんて………」


「バカッ!!鈴木にはそんなつもりなくても結果的にはそうなるって、まだ分からないの?」


鈴木はハッとし、私から視線をそらすと、近くに落ちている箱に気付いた。


「これって………………」

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