《MUMEI》

まだ冬夜は私を降ろそうとしない。

どうしたものか。

「‥‥‥‥‥‥‥」

だが私は命令されてしまった。

大人しくしてて下さいね、と。

ならば歯向かう訳にはいかんだろう?

だが参ったな‥。

彼はいつまで私を抱いているつもりだ‥?

「お嬢様」

「ん‥?」

「ご安心下さい、降ろさないという事はありませんから」

「ああ」

そろそろ降ろして欲しいのだがな‥。

ああ

分かっている。

絶対服従だと。

分かってはいるのだが──‥。

「お嬢様?」

「‥‥‥‥‥」

どうにも照れくさい。

これもまた

覆す事が出来ないのである。

それで良いのかも知れんがな──。



***

番外編‐2人の定め‐終

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