《MUMEI》

「…ありがとう」


私は父のテンションに引きながらも、お礼を言った。

ちなみに、華江さんの言っていた『スーツの彼等』とは


『シューズクラブ』の俊彦・和馬・孝太の三人だった。


「開けてみて!」


(何だろう…)


私はリボンと包装紙を取って、箱を開けた。


(これって…)


私は嫌な予感がした。


恐る恐る、中身を確認する。


「あら、綺麗に撮れているわね」


カメラ屋の瞳さんが感心するほど、それは綺麗な仕上がりだった。


「いい着物ね」


毎日着物を着ている薫子さんが褒めるほど、写真の中の私は美しい振袖を着ていた。


友君に夢中だった女性陣が、私達の周りに集まり始めた。


蕎麦茶を飲んでまったりモードの男性陣も、興味を示し始めた。


それは、去年。


二十歳の記念に父と華江さんと友君の希望で『撮らされた』写真だった。


「やっぱり着物いいよな」

「俺達夏だもんな」


祐介さんと勇さんが言うように、ここの成人式はお盆に行われていた。


(そうなんだよな…)


だから、私はもう一枚撮らされたのだ。


「あら、続きあるじゃない!」×3


「こ、これはダメです!」

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