《MUMEI》

文化祭当日・・・。

私と百花、光はナレーション当番の時間まで、他クラスの展示をひと通り回っていた。飲食を扱う事は不可だったので、どこのクラスもお化け屋敷や、フリーマーケットなど、同じような出しものが続く。

「なんか飽きるねぇ。」
光は頭の後ろで手を組ながら、ボソリと言った。

「食べ物やさんとかあればいいのにねー。」
私も光の意見に同調した。

「ねぇ、そういえば杉田くんは?」
百花は光に尋ねた。光は「さぁ」という感じで、首を傾げた。

私たち四人はナレーション班の二班として、今日の午後から教室に戻って、担当することになっている。
もしかしたらクラスや部活の友達と回っているかもしれない。


生徒会室の前を通ると、聞き覚えのある声がした。

「なんで君がそんなことを・・・」

私は立ち止まった。
ドアの隙間からそっと覗くと、噂の杉田くんと成原さんが向かい合って立っていた。
「おーい。かなでー。」
少し前を進む光が、おいでおいでをしている。

「先行っててー。」
二人に先に行っててもらい、私はそのまま生徒会室での会話を聞いていた。


「お金なくて、制服買えないなんて言って、結局うちの制服着てるじゃない。」

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