《MUMEI》 え・・・?一瞬自分の耳を疑った。 「それだからと言って、人の制服をインターネットで勝手に売っていいのか?」めずらしく強い口調で、杉田くんが怒鳴っている。 ネット?売る?制服・・・私の? 「先輩が、可愛い子が転入してきた・・・なんて言うから。」 成原さんは歯を食いしばり、俯いていた。 間違えなく、私の制服のことだ。話の流れから行くと、あの時・・・成原さんが私の制服を盗んだんだ。それをインターネットのオークションに出している履歴を、杉田くんに見つかったに違いない。 「成原さんの気持ちは分かっていたけれど・・・僕は答えてあげられない。」 悲痛な表情だった。 成原さんは俯いたまま、生徒会室を飛び出した。ドアのところにいた私に気付かず、そのままドンっとぶつかる。 彼女はその衝撃で、顔を上げたので私だと認識した。 「盗み聞き?」 泣いているのかと思ったら、鋭い目で私を睨んでいる。私も睨み返した。 「・・・成原さん、私の制服盗んだの?」 「だから?ネットで売れたらそのお金返すわよ。貧乏なんでしょ?」 私は怒りのあまり、ワナワナ震えていた。 前へ |次へ |
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