《MUMEI》

「頼もしいわね」


様子を見ていた咲子さんは感心していた。


この二人、実は今日が初対面だったりするのだが…


父が咲子さんに華江さんのメルアドを教えていたので、既にメル友だったらしく、意気投合していた。


「あ、そうだ。蝶子ちゃん、ちょっといい?」


「? 何ですか?」


運転席に座る前に何かを思い出したらしく、華江さんは私を連れて駐車場の隅に移動した。


ちなみに


車内をロックしたので、父は出てこれなかった。


窓を開けて何か言おうとしたらしく、咲子さんに止められていた。


「さっきの事なんだけどね」


?


私は首を傾げた。


「『内緒』って話」


「教えてくれるんですか?」


あの三人が私の写真に興味を示さなかった理由を。


俊彦が、二人きりでなくてもいいと納得した理由を。

華江さんは頷いた。


「まず、茶髪君と眼鏡君の理由はこれ」


華江さんは、一枚の写真を私に見せた。


それは


三年前、父と華江さんと私の三人で撮った再婚記念写真だった。


この時私はさっきの二枚目と同じウィッグを付け、今日と同じワンピースを着ていた。


この日は足もしっかり出していた。

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