《MUMEI》 番外編‐鳥籠の中にこの日、私はかねてから思っていたある事を切り出した。 「冬夜」 「あ、はい。どうされました?」 「以前‥お前は独り身だと言っていたな」 「はい」 「やはり恋しいか?」 「といいますと?」 「家族に会いたいと、そう思うか?」 「もちろんですよ。それに──忘れた事なんかありません」 「そうだな、すまん付かぬ事を聞いてしまって」 「構いませんよ。ところであの、ひとつ聞いても宜しいですか」 「ああ」 「それは‥?」 「ああ、あれはだな──」 鳥のいない、空っぽの鳥籠。 だがそれは私の大切な宝物のひとつだ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |