《MUMEI》

「‥‥そうだ」

良い事を思い付いたぞ。

「お嬢様、どちらへ?」

「庭へ行くのだ」

「お庭で何を──」

「桜の木があるだろう?──その枝に吊してみようかと思ってな」

私は鳥籠を持って庭へ行き、桜の木の枝に吊した。

もしかしたら鳥が入って来るかも知れない。

私はそんな気がしていた。

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