《MUMEI》

私は鳥籠を枝から外し屋敷の中へ持ち込んだ。

時々中から小鳥が囀る声が聞こえる。

羽音を立てる仕草が可愛い。

「元気な小鳥ですね」

「ああ」

「でも不思議ですね。親鳥とはぐれたんでしょうか」

「さあ、どうだろう‥」

この子もかつての私と同じく‥独りぼっちなのだろうか。

だとしたら──‥。

「お嬢様‥?」

「ああ、すまん」

もしそうだとしたら‥。

私はこの小鳥に何が出来る?

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