《MUMEI》

踊りが終わった後。


私は、俊彦の踊りを見ていない事に気が付いた。


感想を聞かれ、困った私は一応『良かったと思う』と答えた。


珍しく褒められ、俊彦が嬉しそうだったので、私は少し罪悪感を覚えた。


しかし、そんな事は構っていられなかった。


踊りが終わってから、屋台が閉まるまでの数十分間。

「じゃあ、行ってきます」

私は、海さんと交代して、勢いよく歩き始めた。


私は、屋台の食べ物が大好きだった。


しかし、祇園祭の時は、忙しくてそれどころでは無かった。


衛さんが買ってきてくれたたこ焼きと、双子からもらったわたあめだけは食べたけれど…


他にも、美味しい物は沢山あるのだ。


この時間で、いくつ買えるかわからないが…


できるだけ、買いたいと思った。


胃に限界はあるが、咲子さんや丸山さん達が一緒に食べてくれると言うから、心強かった。


(さてと…)


チラッと見た限りでは、幸い、私がいた頃と、屋台の配置はあまり変わっていないようだった。


とりあえず、私は定番メニューから買うことにした。

衛さんが買ってきてくれたたこ焼きは大きなタコが特長の店だったから、違う所にしてみた。

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