《MUMEI》

ぴ、と通話を切ると、明らかに軽くなった動作で手早く着替えはじめる。隠しきれてない笑顔、ハートがほわほわと辺りを漂っていそうな幸せオーラ満開。
その薄い背中に疑問を投げ掛ける。

「‥‥銀二、これからどっか行くの?」

「うん」

ベロアっぽい生地のジャケットと鈍い茶色のブーツ、いつもよりちょっとフォーマルな格好だ。今日は何となく気合いが入っているな、とは思ったが。
床に転がる寂しい死体どもからブーイングの声があがり、へらへらと幸せそうに笑う茶髪男。

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