《MUMEI》

まぁモテそうだしな、こいつ

持参したワックスで髪を整えている茶髪男を眺めながら、俺は複雑な気持ちになる。
こいつにクリスマスに仕事なんて似合わない、彼女がいないのが不思議なくらいだ。

‥‥かのじょ?

しゅ、と香水を控えめに首元に吹き掛ける、淡く香るいい匂い。知らない匂いだ。
かのじょ、彼女か。いるのかな。いつも一緒にいすぎて、恋人なんていないだろうと勝手に思っていたが。いたって不思議じゃない、んだよな
俺が今まで聞かなかったから答えなかっただけで、本当は、可愛いかのじょが、いたりして、

あぁぁぁあ
嫌だ嫌だ

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