《MUMEI》

それから、焼きそば・お好み焼きを買う。


「あ、蝶子ちゃん」

「祐介さん」


『やきとり圭介』の前で焼き鳥を売っている祐介さんに声をかけられた。


焼き鳥はもうパックに入った分だけのようだった。


「それ下さい」


「はいよ!」


私は迷わず最後の一パックを購入した。


(間に合うかなぁ)


不安を抱えつつ、下ってきた道を今度は上り出す。


焼きもろこしと、クレープを買う。


クレープは、まだ全種類選べたので、私は生クリームとブルーベリーソースを選んだ。


すぐに食べないと言ったら、ちゃんとビニール袋に入れてくれた。


(良かった)


私は最後に買う予定の物を歩きながら食べるつもりだった。


既に私の手は塞がりつつあった。


(え〜!)


最後の目的地が


チョコバナナが…


「もう無いんですか?」


「ごめんな。さっき最後の一本若い兄ちゃんに売っちゃったんだよ」


スキンヘッドのおじさんが申し訳なさそうに言った。

「あの〜、…花火大会は、来ませんか?」


「今年は終わりなんだ」


(そんなぁ)


チョコバナナは私の大好物だった。


…仕方なく私はかき氷を買った

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