《MUMEI》 散歩 〈おれ〉「―…伝えたいことがあって」 おれの声がする。 …前田のおばちゃん家からだ。 おれは、蓬田から電話があったあと、少し経って家を出た。 案の定、おれんちの前には誰も居なかったから 公園まで行って、連れてきたゴジラと遊んどくことにした。 んで、公園に着いたとき、声がしたんだ。 (…用事って…これか??) 耳を澄ますと、おばちゃんと何やら喋ってるようだ。 途切れ途切れに聞こえる声から、 おじちゃんの話してるってことが分かった。 ―…それから、花のこと。 蓬田の言葉に、おばちゃんの心が解されてくのが分かった。 …蓬田、もらい泣きしてやんの。 でも、よかった。 おばちゃんが、ちゃんと泣ける日がくんの待ってたから。 ―おれは、何もできなかったから。 必死で涙を堪えようとしてる蓬田に 『ありがとう』を言おうと、思った。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |