《MUMEI》

「──あの、お嬢様」

「‥ああ、すまん。何だ?」

‥オルゴールの音が止まっている。

ああ、そういう事か。

「もう一度聴くか?」

「はい、ではお願いします」

冬夜も気に入ったらしい。

何度もオルゴールを鳴らした。

「楽しいですね」

「ああ」

たまにはこういうのも悪くは無い、と思う。

私達にはこんな時間も必要なのかも知れないな。

「──────」


流れ出す旋律。

繰り返すリズム。

いつもよりゆっくりと、穏やかな時間が過ぎて行く。

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