《MUMEI》

「───────」

目を閉じて聴いていると、まるで別世界にいるような気分になる。

本当に。

‥‥?

冬夜の手が私の手に重なる。

‥暖かい。

安心する。

ずっとこのまま時を忘れていたいと、そんな風に思ってしまう。

夢心地とは、まさにこの事を言うのだろうな。

私の身体が、自然と傾いてきた。

「──────」

冬夜の手が、私の背中に回ってくる。

抵抗する間も無く、私は引き寄せられていた。

嫌では無い。

鼓動が、やけによく響いてくる。

いや、これは彼のか?

‥‥‥私のか‥?

「・・・・・・・・・」

最早どちらのだか分からなくなってしまった‥。

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