《MUMEI》

「‥‥‥‥‥‥‥」

‥?

‥??

何だ‥?

音が聞こえる‥。

「あ、すみません‥起こしてしまいましたね」

「お前、起きていたのか‥」

いつの間に‥。

聞こえていたのはオルゴールの音だったらしい。

冬夜は私が眠っている間、私の手から滑り落ちたオルゴールを、ずっと鳴らしていたのだと言う。

「全く気付かなかったな‥」

「よくお眠りになってらっしゃいましたよ」

「な‥」

又しても寝顔を‥っ。

「すみません、悪気は‥」

「ああ、分かっている」

‥仕方無いな。

今回だけは許してやろう。

今回だけだぞ?

「お嬢様‥?」

「!?」

だから何ゆえ近付くのだお前は‥。

「どうかなさいましたか?」

「どうもこうも‥‥」

いや

やめておこう。

その代わり──‥

もう一度

このオルゴールを鳴らそう──。



***

番外編‐小箱の調べ‐終

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