《MUMEI》 賭け花火大会前日。 昼間、華江さんから私の携帯にメールが届いていた。 (え〜?!) 私は夜、慌てて確認の電話をかけた。 「もしもし、華江さん?」 《あ、蝶子ちゃん。メール見てくれた?》 「はい、あの…」 《こら、寝てなさい、二人共》 電話越しに、父と友君の苦しそうな声がした。 (迷惑だったかな?) 華江さんは二人の看病に追われているようだった。 メールには 『太郎と友和がインフルエンザにかかっちゃって明日は行けそうもない』 とあった。 《ごめんね、蝶子ちゃん》 「いえ…」 私は早々に電話を切ろうと思った。 《明日の事は、ちゃんと皆に伝えてあるからね》 「は?」 《蝶子ちゃんは心配しなくていいからね》 「あの…」 《ごめんね、またね》 「はい、おやすみなさい」 華江さんは本当に忙しそうだったので、私は何も言えずに電話を切った。 (伝えたってなんだろう?) 私がその答えを知るのは翌朝になってからだった。 花火大会当日。 「「おはようございます!」」 午前九時に、結子さんと麗子さんがやってきた。 「「さぁ、行くわよ」」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |