《MUMEI》

京都の大学に行くと周りに言うと、


「観光するところがたくさんあるし、いいね」


とか・・・


「京都は学生の街だから楽しいよ」


などと、いろいろ言われたが・・・


場所が京都に移っただけで、結局はタツヤと部屋でまったりして何も変わらない。


「でもさぁー、鈴木は詩織がいるから、まだマシだぜ」


タツヤが羨ましそうに言う。


「いるって言っても、たまに来て部屋の中をかき回して帰るんだぜ、いい迷惑だよ」


「そりゃ、お前が浮気ばっかするから疑われるんだよ。自業自得だな」


詩織は中学から付き合ってる彼女で、たまにうざくて何度か別れたけど、結局は元の鞘におさまっている。


「入学式って明日だっけ?」


ふと思いついてタツヤに聞いた。


「知らない。いつなんだろな・・・」


タツヤも全くやる気がないらしい。


「俺ら、やべぇな・・・」

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