《MUMEI》

「──お帰りなさい。どうでしたか?」

「ああ、珍しいものを見つけてな」

私が花束を差し出すと、冬夜は目を輝かせた。

「下さるんですか‥?」

「ああ」

「ありがとうございます。──綺麗ですね」

「その四つ葉はな、偶然見つけたのだ」

「そうなんですか──」

冬夜は目を細めながら嬉しそうに呟いた。

「押し花にしても良さそうですよね」

「お前、そんな意外な趣味があったのか?」

「意外と好きですよ、そういう事」

「そうなのか──」

本当に意外だな。

‥いや、それは失礼か。

「お嬢様‥?」

「良いと思うぞ」

「?」

「今度‥私にも教えてくれ」

「はい。──喜んで」

冬夜は笑った。

そして

私も。

***



番外編‐紅茶を庭で‐終

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