《MUMEI》 バンキングを終え、僕の先攻でゲームは始まった。 「ところで僕に大事な話ってなんだ? 久しぶりに会ってビリヤードだけって訳でもないだろ――…?」 僕はブレイクショットを放つ。 カッツコーーンッ!!……カン…コン…コン… 的玉がラシャの上を縦横無尽に散らばるが、一つとしてポケットに吸い込まれるボールは無い…。ブレイクショットは不発に終わった。 「あぁ……」 中島は話を切り出し難そうに、口元をモゴモゴと動かしているだけだ。 彼は1番を狙ってキューを構える――……。 ――カッ…カンッ!……コトンッ… 狙い通り、黄色い的玉をサイドポケットに落とした…。 前へ |次へ |
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