《MUMEI》

(まぁ、確かに)


私が小学生の時、俊彦は中学生だったし、中学生の時は、高校生だった。


「中学生が小学生に手を出すのって…何かイケナイ事に思えたんだよね。

昔、こっそりやっちゃったんだけど。

…て、聞いてる?」


私は花火の方を見つめながら、頷いた。


「人魚姫はクールなんだね」


(だって、起きてたんだもの)


俊彦が言ったのは、私が小学四年生で、俊彦が中学一年生の夏休みの出来事だった。


その日、午前中私は雅彦と学校のプールに行った。


午後から、『俊兄』に二人で宿題を教えてもらう予定だったが、雅彦はプールで会った友達と野球をして帰ると言うから、私は一人で『靴の村居』の二階にある『俊兄』と雅彦の部屋に向かった。


『俊兄』はまだ部活から帰ってきていなかった。


プールの後は、眠くて、私は『俊兄』のベッドで横になっていた。


『蝶子?』


『俊兄』が部屋に入ってきた時、私は起きていたが、まだ眠くて、寝たふりをしていた。


『寝てるのか?』


『俊兄』の声が近くに聞こえた。


ギシッ





『俊彦〜!、スイカ食べる?』


部屋の外から村居のおばさんの声がした。

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