《MUMEI》
【付録】
いつものように仕事をしていると

「冬夜」

お嬢様が話し掛けてきました。

僕は振り返って

いつものように彼女に尋ねます。

「はい、何でしょうか?」

するとお嬢様はニッコリと笑って、僕の手を引っ張って行きます。

でも僕には何の事だかさっぱり──‥。

「あの、どこへ行くんですか?」

「前に約束しただろう?」

「?‥‥ああ、そうでしたよね」

うっかり忘れてました。

今日は2人で遊園地へ行く事になってたんです。

たまには遠出もいいですよね。

そうそう。

実は、ちょっとしたサプライズを考えてあるんです。

あ、お嬢様にはまだ秘密ですよ?

「冬夜、準備は良いか?」

「あ‥はい。いつでも出発出来ますよ、お嬢様」

「よし、ならば行くぞ。さあ、付いて来るのだ」

「──はい」

お嬢様が僕に絶対服従なように

僕も──。

そうなのかも知れません。

「どうした?」

「あ、いえ──何でもありません」

さて、そろそろ行かなくては‥。

今日も忙しくなりそうです。

いえ、楽しいですよ。

それが僕の幸せですから。

それでは。

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