《MUMEI》
暴走
「離…して」


「嫌だ。こんな可愛い格好して、また誰かに狙われたらどうするんだ。

地味な格好してたって、和馬や孝太が狙ってるのに」

「何…それ」


和馬はふざけているだけだし


孝太とだって何も無かった。


「わかってないんだ、蝶子は」


俊彦は私のウィッグに付いていたクリップを外して、階段に置いた。


「自分の魅力に」


「は?」


俊彦が私のウィッグを外した。


「短い髪だって」


優しく髪を撫でる。


「ちょっ…」


俊彦が私の耳たぶを噛んだ。


「柔らかい頬だって、長いまつ毛だって、大きな目だって…」


言いながら、触れてくる。

「もう…っ」


俊彦の親指が私の唇を撫でた。


「柔らかい唇だって」


「んっ…」


強引に唇を重ねてきた。


後頭部を掴まれているから、離れる事も出来ない。


(苦しい)


唇をそらすと、俊彦の唇が私を追いかけてきた。


「はっ…」


息が上がる。


口を開けた途端、俊彦の舌が入ってきた。


生あたたかい感触。


俊彦の舌が私の舌を絡めとり、離してくれない。


右手で私の後頭部をしっかり固定し、口腔内の愛撫を続ける。

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