《MUMEI》 「ただいまぁ〜」 佐久間は10分もしないうちに戻ってきた。 「どうだった?」 高橋さんが聞くと、佐久間は小さな袋を一つ見せて、 「あと一軒…」 と、悔しそうに言った。 「その一軒って…」 私は恐る恐る聞いた。 「太一くんのとこだよ」 やっぱり… 「太一くんて誰だよ?」 高橋さんと越智さんが訊ねる。 「愛加と千夏ちゃんの大学時代の友達だよ。偶然同じマンションなんだ…」 佐久間が説明すると、 「私も今日来てビックリしたのよ!!しかも佐久間さんが太一のこと知ってるって言うから…」 千夏がどれだけ驚いたかを二人にアピールする。 「それにしても困った……どうしよ。まずいなぁ」 佐久間が一人でぶつぶつ呟きながら考えている。 「あ、そうだ!愛加、太一くんに渡しといてよ」 前へ |次へ |
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