《MUMEI》
脱力
翌日は幸い、水曜日で『クローバー』の定休日だから、仕事は休みだった。


昨夜、私は最後の気力を振り絞って浴衣だけは脱いでたたんで置いたが、お風呂にも入らず、下着にTシャツ一枚と言う格好でベッドに倒れこんだ。


朝、目が覚めても、なかなか力が入らず、私は起き上がる事が出来なかった。


コンコンッ


「おはよう、蝶子ちゃん。起きてる?」


ドア越しに、咲子さんの声が聞こえた。


私は今まで休みの日でも、いつもと同じ時間に起きていた。


時計を見ると、その時間を一時間近く過ぎていた。

「起きてます。…大丈夫です」


「入ってもいい?」


「それは…ちょっと」


私はまだ、上はTシャツ一枚・下は下着一枚のままだった。


「朝食、食べれそう?」


「はい。…あ、その前に」

私は躊躇いがちに咲子さんに質問した。


「シャワー浴びてもいいですか?」


ーと。


数分後。


ジャージのズボンを履き、タオル類と着替えを抱えて私は階段を下りた。


「…おはようございます、すみません」


「いいのよ、休みだし。たまにはゆっくりしても。

…珍しいから、ちょっと心配になっただけ。

何かあった?」

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