《MUMEI》 (ありすぎて、何がなんだか…) 「はぁ…」 私は、咲子さんの質問に、大きくため息をついて、背中を丸めながら、風呂場に向かった。 咲子さんは、以前のように詳しく話を聞き出そうとはしなかった。 多分、私が答えられる状態で無い事が、わかったのだろう。 「げっ」 絆創膏を外し、首筋をチェックした私は思わず声が出た。 うっすらとではあるが、俊彦の歯形が残っていて、赤く腫れ上がっていた。 時間が経てば、歯形は消え、赤は青へと変わるだろうが…どう見ても、誤魔化しようもなく (誰が見ても、噛まれたってわかるよな〜) しばらく絆創膏は必要だなと、私は思った。 それから、私は裸になり、熱めのシャワーを浴びた。 髪を洗う時も 体を洗う時も いちいち俊彦の顔が浮かんでしまって… 「はぁ…」 シャワーを浴びてもちっともすっきりしなかった。 脱力感は更に増したような気がした。 「蝶子ちゃん、大丈夫?顔色悪いわよ。とにかく、何か少しでも食べて、今日は寝てなさい」 「すみません…」 (そういえば、昨日は夕飯も食べてなかったな) そんな事を考えながら、私は朝食を食べた 前へ |次へ |
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