《MUMEI》 料理 〈おれ〉蓬田が、真剣な表情でいもの皮を剥いている。 …ものすごく真剣。 てか、包丁の持ち方怖い… おれは、大体の下ごしらえを済ませると、皮むきを手伝うことにした。 蓬田の質問に答えながら、 …そっか、あれからもう8年になんのか、って思った。 「いたッ!!」 短い悲鳴に隣を見ると、蓬田の左手の人差し指から血が。 「うわ、大丈夫か!?」 ―…やべえ、おれがちゃんと見てなかったから 「…ちょっと見せてみ」 蓬田の左手を掴み、傷口を見る。けっこう深く切ってんな… ―…おれの手で良かった… 傷口を洗うように言ってから、絆創膏を取りに行く。 蓬田は何故かキョトンとしていた。 ―…昔はおれもよく切ってたな…… 棚から救急箱を取り出しながら、そんなことを思い出してた。 前へ |次へ |
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