《MUMEI》 整理私は微妙な温度のスイカを何とか食べ、夕食は『いりませんから』と咲子さんに断った。 申し訳ないが、食べれそうも無かった。 「「蝶子ちゃん、いじめられたの?」 「そうなの?」 「違います」 精神的なダメージはある意味いじめだが、双子の言う『いじめ』とは違うので、私は否定しておいた。 「お風呂だけ、先に入ってもいいですか?」 「いいけど、大丈夫?」 「はい」 私は今日は湯船に入りたかった。 (…ふぅ) ゆっくり温まったので、入浴後は少し落ち着いた。 「よかったら、これ使って」 「ありがとうございます」 咲子さんがくれたのは、ラベンダーのアロマキャンドルだった。 私は早速部屋に戻ると灯りをともした。 キャンドルの炎と優しい香りで、私の心が癒されていく。 私は、大きく深呼吸をした。 明日は、仕事だ。 (このままじゃ、ダメだ) 私は、自分の気持ちを整理する事にした。 まず、和馬の顔を思い浮かべた。 ふざけて、セクハラばかりする和馬。 和馬の本命は、多分、孝太が言っていた通り、私ではなく、琴子さんという女性だと思った。 前へ |次へ |
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