《MUMEI》 帰省あれから五日。 晴れの日が三日・曇りの日が一日・そして雨の日が一日あった。 その雨の日は、雅彦が対応してくれた。 私は、正直、ホッとした。 気が付くと、俊彦に噛まれた跡も、だいぶ薄くなっていた。 明日からの三日間。 『クローバー』はお盆休みに入る。 ちなみに、『シューズクラブ』は、この三日間は、孝太以外の三人で接客にあたると雅彦が言っていた。 孝太は、お盆と正月は必ず実家に帰るらしい。 (和馬は、帰らないのかな?) 少し、気になった。 お盆休み初日。 「じゃあ、蝶子ちゃん、気を付けてね。兄さん達によろしくね」 「はい。咲子さん達も楽しんで来て下さい」 咲子さん達工藤一家は、これから二泊三日で海に出かける。 私は、一人で母の墓参りに行った後、父と華江さんと友君の家に行って、お盆を過ごす予定でいた。 その為、私は今日は黒い半袖のワンピースを着ていた。 「「蝶子ちゃん、またね」」 「うん、またね」 双子は笑顔で後部座席に乗り込んだ。 咲子さんは助手席に、衛さんが運転席に乗り、車が出発した。 (さてと) 私はバックを持って駅に向かった。 前へ |次へ |
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