《MUMEI》

たわいもない話をして笑いあっていると、だんだん雲行きが怪しくなってきた。


「げ、なんだか降りそう」

「夕立ですかね…?」

「全くもう。ほんっとにアテにならないな、最近の天気予報は…」


私が庭におりて空を見上げると、どこからともなく「にゃあ」と鳴き声が聞こえてきた。


「あ、猫ちゃん」

と同時に、リョウイチくんが嬉しそうに呟く。

見ると、子猫がリョウイチくんの膝の上で丸くなるところだった。


「アンタねぇ、こういう場合は先に家主に挨拶するもんでしょーが」


歩み寄ってひと撫でしてから縁側にあがる。


「アンタが来たんなら確実に降るわね。洗濯物いれてこないと…」

「じゃあ、猫ちゃんは俺と遊ぶか!」


リョウイチくんが笑いながら猫を抱き上げるのを見届けてから、私は急いで2階のベランダに向かった。


洗濯物を取り込みながら、いつの間にこんなに仲良くなったのかしら、とぼんやり考えていた…







取り込み終わってすぐ、大粒の雨が降ってきた。

縁側に戻ると、リョウイチくんは猫を抱いたまま、ぼんやりと外を眺めている。

雨はどんどん激しさを増し、庭には煙のような水しぶきが見えた。

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